はじめに
このブログでは温室効果ガス（GHG）の排出量をSAP Sustainability Footprint Managementを使用してSAP Sustainability Control Towerへ連携する手順を紹介します。
Sustainability Footprint Managementの超概要については、こちらの動画をご覧ください。
Sustainability Control Towerのへのデータインポートおよびデータ入力の基本はこちらのブログをご覧ください。
アーキテクチャ
Sustainability Control TowerはBusiness Technology Platform（BTP）上で提供されるSaaSソリューションで、ESGパフォーマンス管理を行うためのプラットフォームです。このブログでは、SAP Sustainability Footprint Managementで計算された温室効果ガス（GHG）の排出量をSustainability Control Towerに連携する手順を説明します。
Sustainability Control Towerのバックエンドのアーキテクチャイメージは以下のようになっています。DPI（Data Provider Interface）と呼ばれるインタフェースを介して、CSVファイルあるいは接続されているシステムからデータを中間テーブルにインポートします。その後にデータチェックを行った後に永続化領域のテーブルにデータを更新します。
期間固有データのベクトルテーブルはディメンジョンテーブル、データポイントテーブルはファクトテーブルのようなものです。
SAP Sustainability Footprint ManagementとSAP Sustainability Control Towerの統合は以下のイメージです（ヘルプ）。
本ブログの対象のメトリクス
このブログでは、Sustainability Control TowerでSAPから提供されているメトリクスのうち、以下の温室効果ガス（GHG）の排出量を対象にします。
※以前はGHG 総排出量 - スコープ 2とGHG 合計総排出量がありましたが、現在はスコープ２が市場ベースとロケーションベースに分割されたため、利用できなくなっているので、注意してください。
データの種類
Sustainability Control Towerの温室効果ガス（GHG）の排出量のデータの種類は以下の4種類が存在します。データの種類については、ヘルプのコンセプトを参照してください。それぞれデータインポートあるいはデータ入力方法が異なるため、注意してください。特に実績については、利用しているシステムによって複数のソースシステムから温室効果ガス（GHG）の排出量データが連携される可能性があります。
他のメトリクスもデータの種類は共通ですが、データインポートあるいはデータ入力方法について＊がついているものは温室効果ガス（GHG）の排出量固有です。
本ブログでは、 SAP Sustainability Footprint Managementからのデータ連携の手順を紹介します。
Sustainability Control Towerのへのデータインポートおよびデータ入力
FioriのGHGレコーディングを使用した温室効果ガス（GHG）排出量の入力
Sustainability Control TowerとSAP Datasphereのデータ連携
Environment、Health、Safety（EHS）のEM（Emission Management）を使用したカーボンフットプリントデータの連携（今後リリース予定）
SAP Sustainability Footprint Managementとの接続（ヘルプ）
SAP Sustainability Footprint ManagementをサブスクライブしているBTPサブアカウントでBTPコックピットのSAP Sustainability Footprint Managementのインスタンスからクレデンシャル情報を確認します。View Credentialsでクレデンシャル情報を確認することが可能です。
SAP Sustainability Control TowerをサブスクライブしているBTPサブアカウントでBTPコックピットのメニューからConnectivity＞Destinationsを選択し、SAP Sustainability Footprint Managementの宛先を登録します。各項目の入力内容は1で取得したクレデンシャル情報を元に、ヘルプの記載通りに入力します。
Check Connectionボタンをクリックして、以下のメッセージが出力されたら、接続完了です。
SAP Sustainability Control Towerへのデータインポート前に実施すべき作業
SAP Sustainability Control Towerへのデータインポート前にヘルプの前提条件に記載されている作業を行います。
SAP Sustainability Footprint Managementに保存したプラントを、SAP Sustainability Control Towerのビジネスロケーションとして更新します。ビジネスロケーションの更新については、Sustainability Control Towerのへのデータインポートおよびデータ入力のマスタデータのインポートの標準組織構造のインポートを参照してください。
SAP Sustainability Footprint ManagementのプラントがSAP Sustainability Control Towerのビジネスロケーションとして更新されていない場合、後続のデータインポート時に以下のエラー（BUS_NOT_FOUND）となり、データのインポートを行うことができません。
SAP Sustainability Footprint Managementでフットプリントを外部通信に利用できるようにします。SAP Sustainability Footprint Managementのホーム画面からフットプリント通信管理タイルをクリックします。
フットプリントの通信管理で他のシステムに連携するスコープおよび計算バリアントを指定する必要があります。SAP Sustainability Control Towerにデータ連携するために製品フットプリントの公開は必要ありません。
フットプリントインベントリ範囲は計算の周期や有効期間、フットプリント計算に含めるバリューチェーンステップや会社（プラント）を管理しています。
実績データのインポート
Sustainability Control Towerの実績のデータ入力方法を紹介します。ホーム画面のデータ管理および統合からESGデータの管理タイルを選択します。
メジャーから二酸化炭素排出量を選択し、SAP Sustainability Footprint Managementからインポートを選択します。
以下の画面が表示されるので、接続済みであることを確認して、データのインポートをクリックします。
SAP Sustainability Footprint Managementからデータをインポートする期間を選択して、インポートボタンをクリックします。
中間テーブルまでインポートが完了したら、データチェックボタンを押下してデータのチェックを行います。
エラーのチェックでエラーは発生せず、公開保留中のステータスとなったので、公開ボタンを押下します。
データが公開され、中間テーブルからデータがクリーンアップされました。
SAP Sustainability Control TowerのGHGレコーディングアプリのダッシュボードでインポートしたデータを確認します。期間を2023年10月、ビジネスロケーションをW001、会計処理方法をマーケットベース（今回フットプリントインベントリ範囲で選択した計算バリアントがマーケットベースだったため）とします。
以下はSAP Sustainability Footprint Managementのフットプリント概要です。フットプリントインベントリを選択し、今回SAP Sustainability Control Towerに連携されたデータと整合していることがわかります（SAP Sustainability Footprint Managementの表示単位がキログラムとなっていますが、SAP Sustainability Control Towerの280.4トンと整合しています）。
まとめ
温室効果ガス（GHG）排出量をサンプルにSAP Sustainability Footprint ManagementとSustainability Control Towerの接続設定とデータのインポートを説明しました。本ブログを通じて、SAP Sustainability Footprint ManagementからのOData APIを介したデータインポートへの理解が深まったと思います。
SAP Sustainability Footprint Managementで計算されたフットプリントデータをSustainability Control Towerにインポートして非財務情報データの利活用のプラットフォームとして利用するイメージを持っていただけたら、幸いです。
このブログでは温室効果ガス（GHG）の排出量をSAP Sustainability Footprint Managementを使用してSAP Sustainability Control Towerへ連携する手順を紹介します。
Sustainability Footprint Managementの超概要については、こちらの動画をご覧ください。
Sustainability Control Towerのへのデータインポートおよびデータ入力の基本はこちらのブログをご覧ください。
アーキテクチャ
Sustainability Control TowerはBusiness Technology Platform（BTP）上で提供されるSaaSソリューションで、ESGパフォーマンス管理を行うためのプラットフォームです。このブログでは、SAP Sustainability Footprint Managementで計算された温室効果ガス（GHG）の排出量をSustainability Control Towerに連携する手順を説明します。
Sustainability Control Towerのバックエンドのアーキテクチャイメージは以下のようになっています。DPI（Data Provider Interface）と呼ばれるインタフェースを介して、CSVファイルあるいは接続されているシステムからデータを中間テーブルにインポートします。その後にデータチェックを行った後に永続化領域のテーブルにデータを更新します。
期間固有データのベクトルテーブルはディメンジョンテーブル、データポイントテーブルはファクトテーブルのようなものです。
SAP Sustainability Footprint ManagementとSAP Sustainability Control Towerの統合は以下のイメージです（ヘルプ）。
本ブログの対象のメトリクス
このブログでは、Sustainability Control TowerでSAPから提供されているメトリクスのうち、以下の温室効果ガス（GHG）の排出量を対象にします。
- GHG 総排出量 - スコープ 1
- GHG 総排出量 - スコープ 2 市場ベース
- GHG 総排出量 - スコープ 2 ロケーションベース
- GHG 総排出量 - スコープ 3
- GHG 合計総排出量 - ロケーションベース
- GHG 合計総排出量 - 市場ベース
※以前はGHG 総排出量 - スコープ 2とGHG 合計総排出量がありましたが、現在はスコープ２が市場ベースとロケーションベースに分割されたため、利用できなくなっているので、注意してください。
データの種類
Sustainability Control Towerの温室効果ガス（GHG）の排出量のデータの種類は以下の4種類が存在します。データの種類については、ヘルプのコンセプトを参照してください。それぞれデータインポートあるいはデータ入力方法が異なるため、注意してください。特に実績については、利用しているシステムによって複数のソースシステムから温室効果ガス（GHG）の排出量データが連携される可能性があります。
| データの種類 | 分類 | データインポートあるいはデータ入力方法 |
| マスタデータ | マスタデータ | ž Data Provider Interface（DPI）経由CSVファイル ž FioriのGHGレコーディングタイル＊ |
| 目標 | 期間固有データ | ž Data Provider Interface（DPI）経由CSVファイル |
| 実績 | 期間固有データ | ž FioriのESGデータ管理タイル ž FioriのGHGレコーディングタイル＊ ž SAP Datasphere連携 ž Sustainability Footprint Management（SFM）連携＊ ž Environment、Health、Safety（EHS）のEM（Emission Management）連携＊ |
| 野心的目標 | N/A | ž Fioriの野心的目標タイル |
他のメトリクスもデータの種類は共通ですが、データインポートあるいはデータ入力方法について＊がついているものは温室効果ガス（GHG）の排出量固有です。
本ブログでは、 SAP Sustainability Footprint Managementからのデータ連携の手順を紹介します。
- 関連ブログ
Sustainability Control Towerのへのデータインポートおよびデータ入力
FioriのGHGレコーディングを使用した温室効果ガス（GHG）排出量の入力
Sustainability Control TowerとSAP Datasphereのデータ連携
Environment、Health、Safety（EHS）のEM（Emission Management）を使用したカーボンフットプリントデータの連携（今後リリース予定）
SAP Sustainability Footprint Managementとの接続（ヘルプ）
- SAP Sustainability Footprint Managementのクレデンシャル情報の確認
SAP Sustainability Footprint ManagementをサブスクライブしているBTPサブアカウントでBTPコックピットのSAP Sustainability Footprint Managementのインスタンスからクレデンシャル情報を確認します。View Credentialsでクレデンシャル情報を確認することが可能です。
- 宛先の設定（ヘルプ）
SAP Sustainability Control TowerをサブスクライブしているBTPサブアカウントでBTPコックピットのメニューからConnectivity＞Destinationsを選択し、SAP Sustainability Footprint Managementの宛先を登録します。各項目の入力内容は1で取得したクレデンシャル情報を元に、ヘルプの記載通りに入力します。
Check Connectionボタンをクリックして、以下のメッセージが出力されたら、接続完了です。
SAP Sustainability Control Towerへのデータインポート前に実施すべき作業
SAP Sustainability Control Towerへのデータインポート前にヘルプの前提条件に記載されている作業を行います。
- SAP Sustainability Footprint Managementのプラントをビジネスロケーションとして更新（SCT側作業）
SAP Sustainability Footprint Managementに保存したプラントを、SAP Sustainability Control Towerのビジネスロケーションとして更新します。ビジネスロケーションの更新については、Sustainability Control Towerのへのデータインポートおよびデータ入力のマスタデータのインポートの標準組織構造のインポートを参照してください。
SAP Sustainability Footprint ManagementのプラントがSAP Sustainability Control Towerのビジネスロケーションとして更新されていない場合、後続のデータインポート時に以下のエラー（BUS_NOT_FOUND）となり、データのインポートを行うことができません。
- フットプリント通信範囲の更新（SFM側作業）（ヘルプ）
SAP Sustainability Footprint Managementでフットプリントを外部通信に利用できるようにします。SAP Sustainability Footprint Managementのホーム画面からフットプリント通信管理タイルをクリックします。
フットプリントの通信管理で他のシステムに連携するスコープおよび計算バリアントを指定する必要があります。SAP Sustainability Control Towerにデータ連携するために製品フットプリントの公開は必要ありません。
フットプリントインベントリ範囲は計算の周期や有効期間、フットプリント計算に含めるバリューチェーンステップや会社（プラント）を管理しています。
実績データのインポート
Sustainability Control Towerの実績のデータ入力方法を紹介します。ホーム画面のデータ管理および統合からESGデータの管理タイルを選択します。
- データのインポート
メジャーから二酸化炭素排出量を選択し、SAP Sustainability Footprint Managementからインポートを選択します。
以下の画面が表示されるので、接続済みであることを確認して、データのインポートをクリックします。
SAP Sustainability Footprint Managementからデータをインポートする期間を選択して、インポートボタンをクリックします。
- データのチェック
中間テーブルまでインポートが完了したら、データチェックボタンを押下してデータのチェックを行います。
- データの公開
エラーのチェックでエラーは発生せず、公開保留中のステータスとなったので、公開ボタンを押下します。
データが公開され、中間テーブルからデータがクリーンアップされました。
- データの確認
SAP Sustainability Control TowerのGHGレコーディングアプリのダッシュボードでインポートしたデータを確認します。期間を2023年10月、ビジネスロケーションをW001、会計処理方法をマーケットベース（今回フットプリントインベントリ範囲で選択した計算バリアントがマーケットベースだったため）とします。
以下はSAP Sustainability Footprint Managementのフットプリント概要です。フットプリントインベントリを選択し、今回SAP Sustainability Control Towerに連携されたデータと整合していることがわかります（SAP Sustainability Footprint Managementの表示単位がキログラムとなっていますが、SAP Sustainability Control Towerの280.4トンと整合しています）。
まとめ
温室効果ガス（GHG）排出量をサンプルにSAP Sustainability Footprint ManagementとSustainability Control Towerの接続設定とデータのインポートを説明しました。本ブログを通じて、SAP Sustainability Footprint ManagementからのOData APIを介したデータインポートへの理解が深まったと思います。
SAP Sustainability Footprint Managementで計算されたフットプリントデータをSustainability Control Towerにインポートして非財務情報データの利活用のプラットフォームとして利用するイメージを持っていただけたら、幸いです。
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